―夢魔の潜む部屋―


これはまだ全国大会が始まる前の話…

無事に関東大会コンソレーションを勝ち抜いた山吹中は次に迫る全国大会に向けて猛練習中であった。この短い期間にクリアしなければならないチームとしての課題は山ほどあって、より集中的に効率よく練習を行う為に部員たちは山奥で合宿中であった。かねてより付き合いのある寺に五日間宿泊させてもらい、毎日厳しいスケジュールが部長の南によって組まれていた。当然皆その鬼スケジュールにへとへとである。

山吹中のエース千石はそんな状況でもこの合宿を楽しく過ごすために、チームに笑顔を振り撒きムードメーカー的な役割を果たしていたが、自身のある欲求を満たす為に彼は自宅からある物を持参していた。そしてそれは早速初日に活用しようと千石がカバンからこっそり取り出したところ、なんと運悪く部長である南に見つかってしまったのだ。当然その例の私物は没収、千石は抵抗したが南は容赦なかった…

「ちょっちょっと南!!それ返してくれないと非常に困る〜〜っ」
「何が困る〜、だ!お前はよく合宿中にこんな物持ち込んでくれたな、今は全国大会前の大事な時期だって分かってるのか!?とにかくコレは合宿が終わるまで没収、いいな!」
「ええ〜〜っっ、とか言って南…今日の晩辺りそれをオカズにするつもりだろ、騙されないぞー」

そんな軽はずみな千石の発言に南がプチーンと切れたのは言うまでもなく、千石はその日外へ放り出された。

「わ〜っっ!!何するんだよ南!」
「うるせえっっ!!!お前は今日外で野宿でもしてろ!」
「だって今オレたち思春期真っ只中で溜まるじゃん!南だって溜まっ…」
「うるさいっっ!!!寺でンなことデカい声で言うな!この恥知らずっ、とにかくそこで反省してろ!」
「そんな殺生な〜南、見るぐらいいいじゃん、ケチ!!」

バキバキベキボキ…
南はわざと見せ付けるように拳の音を千石に聞かせて、地べたに座り込む千石を冷たく上から見下ろした。すると怯んだ千石は口を固く閉ざし、もう余計なことは言うまいと南をなだめにかかる。するともう南も満足したのかようやく仕置きの時間は終わった。
ちなみに千石の私物とは俗に言うエロ本なる物なのだが、基本的に南はその類のものは大嫌いなので(見たことが一度もない!とは断言は出来ないそうだが。まあ人前で堂々とが何より気にいらないらしい)当然その点で千石と気が合うわけもなく…まあ南に見つかってしまったのが不運だったのだ。ラッキー千石の異名を持つくせに。

そんなこんなで千石はこの合宿中とても欲求不満で、練習はマジメに取り組んでいるものの就寝時間になると身体が妙に疼いて落ち着かないらしい。だが夜中だからといって妙な行動を取る訳にもいかず…大体南とは同部屋なので(他は東方と室町、むしろ千石監視されてる?)こそこそ部屋を抜け出してもバレた時が怖い。

―トイレでもう抜いてこようかなあ…―

でもそのオカズにするために持ち込んだ本は没収されてしまい、後は自分の想像力でカバーするしかないのだが、いかんせん日中の練習もさすがにハードで身体は明らかに疲れているのだ。正直余力がない。
千石は仕方なしに明日のため今日はこのまま眠ることにした。


そして事件は最終日の夜に起こった。


いいかげんもう限界だと千石は疲れもアレも溜まった身体を捩じらせて、ガバッと勢いよく布団から身を乗り出した。我慢大会はおしまいだと、もそもそ芋虫のように布団と畳の上を進んで出口へ向かおうとした。そのままトイレに直行して何でもいいから抜いてしまおうと。
だが千石が這い進む途中、南の寝床に直面した。そしてしばらくそこで身を潜めジーッと相手の寝顔を見つめる。どうやら合宿練習の疲労からかなり深い眠りについているようで目の前の千石に全く気付いていない。どこまでも無防備な寝顔を晒している。
千石はそんな幸せそうな南の寝姿を見て、突然何かに閃いたように口の端を吊りあげた。

「……いいこと考えた」

ぼそりと呟き、目をいやらしく薄く開いたまま千石はもそもそと南の足側へと回りこみ。そしてきっちり布団を被っている南の足元近くの布団を捲りあげて、なんと中へ侵入を開始した。千石のせいであやしく盛り上がる南の布団、がしかし南は全く気付かない。完全に寝付いている。
それから千石の取った行動は至って単純なもので、しかし危険には満ちていた。

夏場の寝間着なんて男は大概Tシャツにハーフパンツが主で、南も正しくそのパターンに当てはまっていた。千石は南の白いTシャツに手をかけると躊躇なく胸元上までそれを捲り上げる。南は無反応のままだ。
もうすっかりネジが一本外れた千石は至極楽しそうに好奇心が勝って、現れた胸の突起に舌を絡ませてその味を確かめた。そしてもう片方は指の腹で優しく触れて、南で性的欲求を満たしていく。だがさすがに南も自分の身体の異変に気付き、寝ぼけた瞳で胸元を覗き込む。自分と布団の隙間から何と千石の顔が現れ南は不思議そうにそれを眺めている。そして「何…?」とだけ消え入りそうな声で千石に尋ねた。

―ん?あー…南まだ寝ぼけてるな?だったら…―

「南ったらこんな夢見ちゃって…恥ずかしいなあ、もう…」
「え…夢…?あー…そりゃ、そーだよ…な…でもっ…何して…ん、だよ…」
「南が欲求不満じゃない?夢でなきゃこんなことするわけないし」
「な…なに言って…んっ、おい……さわるなよ…」

きっと身体の極度の疲労から南は完全に目覚めようとしない。信じられない嘘を千石に刷り込まれ相手の成すがままとされている。
ますます調子に乗った千石は立ち上がった突起を唇で挟み込んで、ちゅうっと意地悪に吸い付いた。すると南は感じるがまま声を上げて身体をビクンと跳ねさせる。もう千石は興奮してたまらなかった。指でもコリコリとさせるように突起をいじって南の反応を楽しんでいる。

―いくら寝ぼけてるからって、南絶対感じすぎだよなー面白い!―

「んっ…、あ…よせ…っ」
夢の世界の出来事だと思い込ませているから、声を抑えることもせずに抵抗の姿勢もなく、千石は余裕綽々と行為をエスカレートさせていく。
「南、下も溜まってるんじゃない?オレが抜いてあげるよ」
そう言うとハーフパンツを下着ごと掴み、一気に下へずり下げる。布団の中の出来事だったが暗さに慣れた目は南の下腹部をしっかりと捉えており、そのケのない千石だったが異常な場の空気がそうさせるのか千石は乾いた唇を舐めて確かに彼は興奮していた。そして衣服を爪先から抜き取って、足を立たせて中心のものをその手に取った。
その時南が声を上げて虚ろな目で布団の中の千石を不安げに見つめていた。

「我慢しないでねー南、どうせ夢なんだから夢くらいイイ気持ちになろうよ」
千石はまだ柔らかい南のものを優しく握り込んで、いつも自分が自分にしてあげている時のように刺激を与えていった。もちろん他人の男性器を触ったのはこれが初めて。しかしエロマスターの称号(自分の中で)を持つとされる千石の手の動作は実に巧妙で南はみるみるとその形を変えていく。

「あっ、あ…んんっ…ん!ああ…」
普段聞くことがない高音な南の声は妙に新鮮で、千石はゴクンと唾を飲み込みながら手淫に対し素直に反応を示す南を興味津々に眺めた。あっという間に昂ぶるものの先からは既に透明の液体が滲んでいて、相当感じていることが見て取れる。息遣いが荒くなって目尻には涙が溜まっている。声も男とは思えない可愛らしい喘ぎがこの個室を響かせている。
「気持ちいいよな〜南、合宿中どうせ抜いてなかったんだろ?」
南が足を閉じないように、しっかりと片足を固定して最後まで辿り着かせようと躍起になる。もう千石も夢中で南の熱を扱いた。

すると突然隣から妙な気配を千石は感じ取った。

「……ん?」

南から視線を外し、ふと右隣に顔を向ける。

「う、うわっ!!」

千石は柄にもなく本気で身体を竦めて驚いた。
そこにはなんと人の姿があったから。

「ひひひ東方!おお起きたの!?」

南いじりに熱中しすぎて自分以外の布団の侵入をまさか見逃すとは…不覚だった!と千石は焦る。また南の良き相方である東方にとんでもない場面を目撃されて、さすがの千石も焦る。やばいくらいの大量の冷や汗が額に流れ落ちる。東方に見つかってしまったらこの遊びはまず続行不可能だ。むしろ殺される。

―やばいやばいっ、さあどうしよっ!―

南のものを握った状態で何の言い訳も出来るはずのない千石は、この14年間生きてきた中で最大のピンチを迎えた。
だが東方の様子がおかしいことに千石は気付く。

―あ、あれ?何も言ってこないぞ?んん?―

そしてよく見ると東方の目は半分閉じかけていて、今にもその場に沈んでしまいそうな夢と現実のギリギリのラインを彷徨っていた。つまり彼も寝ぼけている。

「んん……千石…なに、して…んの…?」

―ははーん…東方も相当寝ぼけてるな?これは好都合…危ない危ない―

「何って南とHなこと、夢の中でないと南がこんなにあそこ勃たしてあんな気持ち良さそうに喘ぐ訳がないだろ?皆欲求不満だよな〜」
「…夢、夢か…まあそりゃーそうだよな……現実にこんなのありえないし……んー」
「こらこらここで寝ない、折角だし東方も見ていけば?南の絶頂」

うまく東方を切り返した千石はまたもや自分の都合の言いように相手をコントロールして、ようやく行為を再開した。ギャラリーを一人増やして。
放ったらかしにされても萎えない南のものをチュウッと横から吸い付いて、また南が大袈裟なほどに甲高い声を上げた。千石はすっかり熱くなったものを上下に何度も動かして先の部分を指の腹で少々乱暴に擦りつける。すると南の腰が大きく揺れ、快感に溺れているのか艶めかしく腰を何度も振って自分からも千石の掌に擦りつけるようにした。
白熱する布団の中で南も千石も夢中で、東方はただ落ちそうな瞼を必死に留めてジ〜ッとそんな二人の様子を眺めていた。

「南……すごい…腰、振ってるな…」
「相当溜まってるんじゃない?まあ夢くらい好きなようにさせてあげようよ」
「……もう、イきそう…だな…」
「どんな声上げるか楽しみだね〜、おおっビクビクいってる!」

この状況で寝ぼけた男と和気あいあいに雑談を交わしながらでも千石は南をジックリ観察し続け、手の濡れた感触に満足しながらそろそろイかせてあげようと一段と手を早めた。
「あっ、ああっっ!あっもう…、よせぇっ…」
「ちゃんと二人で見ててあげるから南イっちゃいなよ」
「あっんんっ…ん!はあっ…、もっ…で…っ」
「……南、もう…出る…?」
「ああっあっ、あっ、はあっん!ああ…」

夢の世界だと信じ込んでいる南は羞恥心もなく、惜しげもない声を存分に上げて満足そうに実際に溜まっていた精液を勢いよく吐き出した。千石は受け止めたドロッとした液体を指先で遊んでとても上機嫌そうだ。東方はまだぼーっと眺めている。

「出た出た、南の声いやらしいなあ〜、顔もやらしかったけど」
「…千石…やばい」
「ん?なになに東方?」
「……興奮した、南は男…なのに……俺って、おかしいのかなあ…」
「あれま、あれだよ皆溜まってたんだって!夢は欲望に忠実なもんだし、まあ深く考えなくていいんじゃない?まだお楽しみはこれからだし」
「……まだなんか…すんのかー?」

絶頂の余韻に浸っている南の足元で男二人が雲行きの怪しい会話を交わし始める。もう南は何が何だか分からない状況で、いつのまにか東方が加わっていることにさえ疑問を持たない。それは夢なんだから何が起こっても不思議じゃない…と自己完結してしまっているからだ。
「はあっ…はあっ…ん…っ!」
だが、今はまだほんの序章にすぎなかった。
「んっ!お…おい…、今度は…なに…」
気がつけば自分の身体と二人の身体を覆っていた布団は既になく、相変わらず足を閉じさせてもらえない状況で更に千石が新たな動きを見せた。東方は寝ぼけながらも千石の一挙一動に視線が外せないもよう。

「ん?ちょっと南のお尻借りるよー、ちゃんと夢でも痛くないようにしてあげるから安心して」
「しっ尻って…なに…?んん…ちょっ、なに入れてんだよ……」
「指だよ、指」
千石は簡潔に状況を説明して、先程南が放ったもので濡れた指を今まで以上に足を左右に大きく開かせてその奥まった箇所に一本突き立てた。それくらいの質量なら難なく飲み込んでいく。
「オレら南にHな本没収されたから欲求不満になっちゃって…だから南に責任とってもらおうとね、準備してるわけだよ」
「そ…そんな、俺が、知るかよっ…んんっ…」

大胆にも被っていた布団を取り外したことによって千石は先程よりも明るい場所での南の調教が可能になり、またほとんど衣服の脱がされた南の裸体もより鮮明に視界に収めることが出来る。もう一人の同部屋人が気になるとこだが、今はそれに構っていられなかった。
ずぷ…と音を立てながら指で攻め立てて、内部のあちこちを指先で引っ掻くようにする。まだイった直後で感度のいい南はもう既に声を上げ始めていた。偶然気持ちいい箇所に当たるのか、夢の中でも雰囲気に流されて声が自然と漏れるのか、千石はいやらしい笑みを浮かべながら容赦なく奥へ指を進ませる。

「ほらほら…中で感じるとこはどこー?オレは初心者なんだから南がちゃんと教えてくれないとー、別に夢でぐらい理性捨てちゃっても問題ないんじゃない?あっほら東方も黙って見てないで南の足押さえといてよ」
「ん……こうか?あ〜〜夢なのに興奮する…南気持ちいいの?」
「質問に答えてあげたら?」
「んっ…よく分からなっ……、でも…なんか…おかしい…っ」
気がつけば千石の指は二本に増やされている。南が少し苦しそうに身を捩るが東方がしっかりと南の身体を固定しているので逃げ出せずにもがいている。

「だいぶ開いてきたよー南のここ、オレが頑張ったおかげで女の子みたいに濡れちゃったよ?やだなー南のエッチー」
起きている時では死んでも口に出せないような言葉を連発して千石は普段の鬱憤を晴らす。幸い寝ぼけた頭ではよく理解できないらしく、南はただ恥ずかしがって頬を赤く染める程度だ。
すると突然東方が話し掛けてくる。
「…千石、俺も…触ってみたい…」
夢うつつでも興奮するらしく東方から参戦の意向を千石はありがたく受理した。
「そうだねー見てるだけなんてつまらないだろうし触ってあげたら?さっき乳首触ったら南悦んでたよ?」
「…乳首…ん…」
東方はその大きな身体をのっそりと動かし移動して、南の胸元に顔を寄せた。
「ちょ…お前まで…、なんだよ…よせよ…」
南は複雑そうに呟くけれど、そんなこと耳には入っていない東方はピンとした突起を舌で優しく舐め始めた。ペロペロとまるで飴でも舐めているかのように何度も繰り返し、時には甘噛みした。南も二人からの愛撫を受けて身体が火照るのか徐々に中心が熱くなって甘い声も漏れ始めている。
「あっ…ああっ…」
「おお東方、やるじゃん…あの男も相当エロいなあ、じゃあオレもそろそろいただいちゃいますか!」


2へ続く。




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