*日常へ帰る−2−*


トゥルルルル…トゥルルルル…

心臓をバクバク言わせながら携帯を耳にあて、相手が電話に出るのを待つ。何を真っ先に伝えるべきかとか、そんな事一切何も考えずに勢いだけでコンタクトを取ろうと決意したのだ。
すると無視される可能性もあったが、次の瞬間赤羽は電話に出た。

《…何か用か?》

しかし最初に聞かされた言葉はこんな冷たい言葉だった。

「っ!ちょっっお前今どこにいんだよ!!」

《…それをお前に伝える理由は見当たらないな》

「何言ってんだよ!!ちょっ…とりあえず一回帰ってこい!」

《帰るつもりはない、部屋は好きに使ってくれて構わないと言ったはずだが…》

「ああ〜〜っっ、帰ってこいっつたら帰ってこい!!とりあえず!!」

《……用件なら電話で話せるだろう》

「ワガママ言うな!!いいから帰ってこい〜〜〜!!!」

だがきっとこの瞬間、ワガママなのはどっちなんだ…と赤羽は心で思っているに違いない。何を隠そうコータローも自分でそう言っておきながら心で同じような事を思っていたから。


《何故帰ってきてほしいんだ?…大っっっ嫌いなんだろう?》


メチャクチャ根に持ってやがるーーーーーっっっっっ!!!!!


もう思わず頭をガクッと落としたコータローは、やっぱり自分の心無い一言が相手を少なからずとも傷つけていたらしい事を知る。本当に口は災いの元だと痛感した。まさかそんな事であの赤羽が…と思わなくもないが、けれど向こうは一応好きだとはっきりあの時告げていったのだ、やはり三年も一緒に住んでいて想いを口にするキッカケはなかったけれど、好意を抱いてる相手に…しかも同居(同棲に近い)してる相手に大っっっ嫌いと言われてしまえば残念にも思うし多少なりともショックで、そして「ならばこれ以上付き合う義務はない」と半呆れて出て行ってしまったのだろう。

「あっいやっそれは〜、勢いで言っちまったというか…っ、そのっ……あーえっと、とっ…とりあえず一回帰ってこいって!!いいか?分かったな!!??」

帰ってこいの一点張りなコータローもなかなか頑固だった、ここで引き下がる男じゃないのも赤羽はよく知っていたし、仕方ないので一度帰ろうと譲歩する形を取った。

《……分かった、仕方ない…》


そしてこのやり取りから一時間後…


ピンポーン…

ご丁寧に鳴らされたインターホン、コータローはすぐに誰が訪れたのか察知して、何故いつも通り中にそのまま入ってこないのかムカつきながら、けれど今はそんな事言っている場合でもないので、とりあえず不機嫌な表情を浮かべながら(普通は反省の表情を浮かべるべき所を…)ガチャッとドアを開ける。
すると目の前には三日前に出て行ったきり一度も顔を見ていなかった、元この部屋の主の姿があった。

「……中に入れよ」

そして(コータロー的には)至極冷静にそう伝えて、相手も敷居内に入りドアを静かに閉めたが、それ以上中に入ろうとする気配がなかった。靴も脱ごうとしない。

「…?おい、何立ち止まってるんだよ」

「…ここで話を聞こう、話があるんだろう?」

「はっ?元々ここはお前ん家だろ、さっさと上がれよ」

「話が終わったらすぐに帰るつもりだ」

「あぁ!?」

落ち着いて色々弁解する予定のコータローだったが早速噛み合わない相手との会話にイラ立ちを隠せず、ついつい単純に怒りの感情を表に出す。直情型人間はその感情を抑えようとすればするほど妙な反発心が生まれ結局本能のまま振舞ってしまう、のだが…ここでプチンと切れても話にならないと分かって赤羽に帰られてしまう結果は目に見えているので、もうちょっと頑張って自我を抑制する。

「…じゃ、じゃあここで立ち話でもいいけどよ…、えーそのだな…この前ついつい言っちまった事はその〜、全部勢いで出たというか、えー…」

「…………その有り余ったいつもの勢いで本音が出たんだろう」

「あ、そうそう…って違ーーう!!!本音じゃねーよ!!つーかあそこでまさか俺だってお前にあんな事言われるとは思ってもなかったんだよ!!んで急に出て行くしよ…俺の性格分かってんだろ!?」

「ああ、嫌と言うほど。…で、どうして呼び出したんだ、言い訳をする為か?だったらもう帰らせてもらおう」

「だーーっ、ちょっと待てって!!慌てんな落ち着け!って…帰るってどこにだよ、今どうしてんだよ」

まるで自分に言い聞かせるように慌てるな落ち着けと叫ぶコータロー、意外と相手の気はこんなに短かかったのかと話のスピードアップを余儀なくされた。けれど帰ると言う赤羽の、その帰る場所がどこなのかがふと気になってしまった。何せ三日前まではここが赤羽の家だったのだから。

「…知人の家に新しい部屋が見つかるまで世話になっている、お前が気に病む必要はないな」

「……知人って誰だよ、俺の知らない奴かよ……へーー、あっそうかよっ」

だが赤羽の返答が随分気に入らないのか突然ピリピリし始めたコータローは、あれだけ落ち着きを自身に唱えていたくせに速攻感情を剥き出しにしている。散々勝手な事を言って素直にもなれなくて暴言を吐いてそして相手に出て行かれて、赤羽は仕方ないから別の人にただ少しだけ世話になっているだけなのに、何も人の道に外れた事はしていないのだが、それでも何故かコータローは身勝手にも自分以外の誰かの元にいる赤羽に腹を立てていた。
どうやら一人前に嫉妬くらいするらしい…、それはこの瞬間赤羽が思った事。

「………大っっっ嫌いな奴がどこで誰と過ごそうとお前には関係ないだろう」

「ああ〜〜!!まだそれ言うか!!!あー分かったよ、俺だってはっきりスマートにピシッと言ってやるぜっっ!!そ、その…す、す……す…っ、うう…」

「無理にその言葉を紡いだとしても何の効果も得られない」

「うるせーー!!黙って聞いてろ、別に無理じゃねーよ!!ちょっと慣れてないだけだ!!大体いきなり告白合戦になる意味が分かんねーぞ!!そんなに重要な事かよっ」

しかしコータローの錯乱ぶりもピークに達し、放つ言葉言葉全てが矛盾だらけで、一体コータロー自身が何をしたいのか赤羽に伝わる訳もなければ自分にも理解不能だった。色んなとこでガタが出始めている、人間なんでも思い通りにはいかないものだ。けれど変に我を貫き通すコータローの姿勢は、色々弁解をする予定だったはずが、ただ気に入らなくてひたすら文句をぶつけているように思える。これでは一向に話が進むわけがない。

「………もう少し、頭を冷やしたらどうだ」

「うっ……だからその…、俺にとっちゃここで1人は広すぎるんだよ…、別にお前との生活…嫌じゃなかったしよ…、うーんとそのー…」

「………孤独だから俺にいろと言うのか?勝手だと思わないのか?」

「あっ、そういう意味じゃなくってっ!やっぱいねーと調子狂うって言うか…何か足りないって言うか…、って嫌いな奴と一緒に生活なんか出来る訳ねーだろ!?もう分かってんだろ、お前も!!一々言わせたいのかよっ悪趣味め!!」

そしてまた昂ぶった己の感情に任せてコータローは理不尽に叫び、赤羽に当り散らす。言った直後だけだ気持ちいいのは。しばらくして余計な事を言ったと後悔する羽目になるのに。

「フー、これまでのようだな…」

赤羽からまるで突き放すような言葉が飛び出して、躊躇なく最低限の事も言えそうにないコータローに対し背を向ける。ギターを抱えてこの部屋を立ち去ろうとする姿は三日前のあの瞬間と全く同じものだった。

「あっっ、ちょっと待てよ!!」

けれどこの前のように見す見す取り逃がすような真似はしない、今度はしっかりと相手の腕を掴んで動きを止める。しかし振り払ってまで強引に出て行く気はないようだ。元々取り乱すような奴ではないが、それでも少し向こう側も意地になっているのではないかと思える。だから掴んだ腕を自分の方に引き寄せて、相手の身体ごとギターも一緒に抱きすくめてやる。言葉で安易に言えないのなら行動で示す他なかった。

「………」

腕の中で無言なのは気持ちを理解してくれたという事なのだろうか?

「…行かれると困るんだよ」

とんでもない行動に出た自分に対しコータローは恥ずかしさから顔を真っ赤にして、けれどここで逆ギレしている場合でもないとさすがに悟れたのか、なるべく落ち着いた声で胸に抱く想いと同等の言葉を探し相手に伝える。どこまで不器用なのかと呆れてしまうほどだが、こんな事を赤羽に対して今まで言った事は一度もなかった。曖昧なままでずっとやっていけると思い込んでいたのだ。

「………どうして……困るんだ?」

そして振り出しに戻るような赤羽の問いが例外なくこの時も吐き出されて、コータローはまた何も答えられず気難しそうに口を閉ざすけれども、その後呟かれたある言葉には黙って落ち着いてなど聞いていられなかった。


「……セックスの相手がいなくなるからか?」


その時完全にコータローの頭の腺はプチップチッと脆くも簡単に千切れていった。

一瞬にしてカッと頭のてっぺんに血が昇り、それまで優しく抱き締めていたはずの赤羽の身体を目の前の玄関のドアに自分と正面になるよう力ずくで押し付け、バンッ!と大きな音を鳴らした。無情にもギターケースが地に落ちて、両肩を未だ強く両手でドアに押し付けながらコータローは激昂する。まるで自分を怒らせたいような挑発的な言葉に、これっぽっちも冷静になれるはずなどなかった。

「何だとテメーッッ!!もう一回言ってみろ!!ふざけやがってっっ」

思わずご期待通りにその首筋に噛み付いてしまいたくなるが寸でのところでその衝動は抑えた、もしここで行動を誤れば自分は相手の言うように『そういう目』でしか相手を見ていないと確定されてしまう事になり兼ねないからだ。決してそんな事ではないから、逆にコータローはもう怒りが収まらない。

「畜生っっ!!お前俺の事好きなんだろうっ!?だったら出て行く必要なんてねーだろっ、何か問題でもあんのかよ!!」

「………本心を偽る事は俺の音楽性じゃない、だが……お前は俺の事が嫌いなんだろう?これは問題じゃないのか?」

だがもう、コータローは止まらなかった。

「嫌いじゃねーよっ!!嫌いな奴となんかヤれるかよ!!好きな奴じゃねーと抱けねーよっっ!!あーそうだよ、お前みたいな奴の事が好きなんだよっ悪かったな!!不器用で!!お前みたいな訳分かんねー奴の事をよ!!好きって言われてもどうせ素直に言い返せねーよっっ、どうしようもねぇバカだと思ってんだろ!呆れてんだろ!!!んな事ぐらい分かってるぜ、自分でもよ!!」

そして一気に溜めていたものを怒鳴りつけるように吐き出して、もうヤケクソだと形振り構わず格好悪いと分かっていても喚き散らして、ドサクサに紛れてようやく『好き』と言う言葉を口にする。赤羽は何も反論せず静かにコータローの言葉を聞きながら、両肩に込められる力が徐々に強くなってきているのに気付く。捨て身の覚悟で想いの丈を全部ぶちまけて後先の事を何も考えず、この…まさに直情型人間をどう見ているのか、サングラスの向こうの赤い瞳は静かに揺れる。

「フン!もう勝手にしろよっっ出て行くなら出て行くでよ!!でも俺もここを出て行くぜっっ、こんな所で1人で住んでられるか!!」

赤羽から手を離したコータローはソッポを向くように逆に赤羽に背を向けて、ドスンと頑固親父のようにその場に胡座をかいて座り込み意気地を張ったままテコでも動かない覚悟だった。もう何もかもを吐き出して思い残す事がないと言えばないから。
けれど赤羽もそうコータローの思い通りには動かず、倒れた状態のギターケースを抱えなおして、何と向かう先はドアの向こう側ではなくて普通に靴を脱いであっさりと上にあがりコータローの横を通り過ぎていった。

「…っ!?ちょっ、はあ〜〜っっ!?」

「お前が出て行く理由はない、俺も出て行く理由は消え失せた、……紅茶でも入れよう」

「えっあ…ちょっ…何だよ急に掌返しやがってっ、マジで出て行かねぇのかよっ…ちょっ」

特にいつもと変わらぬ表情のままで赤羽は何事もなかったように平然とキッチンに向かい、二人分のカップを用意して紅茶を淹れる準備をしている。コータローはポカーン…と口が開いたまま何がどうなってるのかよく理解が出来ず呆然とそんな赤羽を見つめている。けれどどうやら事態は上手く収まったようだ…もう出て行く気配さえ見せない赤羽は、そういえば最初からギターを持ってここを訪れており、ひょっとすると最初から他に帰るつもりなどなかったかもしれない。

「…な、何だよ…マジで…、この騒動は終わったのかよ?…ええー?」

1人でブツブツと未だ玄関先で座り込んだまま錯乱中だったが、しかしどうやら本当に全てが終わったらしく、しばらく経ってコータローはその場でホッと安堵する。とんだダメ亭主ぶりを披露してしまったが無事に帰ってきてくれた、もう今は何も口出しする気にはなれない。

やっといつもの日常に帰ってきたのだ…、二人で過ごす平穏な日々が。




そしてまた三日が経ち―――


偶然二人の同居先に再び訪れていた沢井の姿があった。本人曰く、用はないが約束の時間まで早く着きすぎてしまったからちょっと寄ってみた…と言っていたが本当の所はその後二人がどうなったのか様子を見に来たのだろう。
しかしこの日、たまたまコータローは不在で赤羽だけがいつもの場所でギターを弾いていた。

「あれ?コータローいないんだ、まさか…出て行っちゃったの?」
「いや…」
「じゃあ赤羽帰ってきたんだ、意外と早かったね…思ったより」
「………」
「まあコータローがバカだっただけなんだけどね今回本当に、全くあいつは!」

赤羽はギターを置きキッチンに向かった、客人の沢井に紅茶を出す為に。そして静かにテーブルの上に置いて自分は又ソファーに戻りギターで音色を奏で始める。
妙に饒舌な沢井の言葉も一つ一つ聞き入れながら。

「でも本当ビックリした…あんなだった二人がまさかこんな事になってるなんてね…しかも痴話喧嘩まで目撃しちゃって運がいいのか悪いのか…で、ちゃんと言ったの?あいつ」

「ああ…」

愛想のない返事のようだったが赤羽ならそれはいつもの事で、質問の意味も瞬時に理解して沢井は心の中で「本当に頭のいい奴…」と思っていた。でもそんな利口な赤羽が何故コータローなのか…少し考えてみるけれど何となく分かるような分からないような、どうも複雑な心境だった。

「じゃあ良かったじゃない、もうさっさと素直になっておけばいいのに、全然中身は成長してなくて…あれじゃアンタも大変よね…本当」

「………この前は随分言葉が多かったな」

「え?口数がって事…?え、そうかな…そんなにペラペラ喋ってたかな、ほら…ついコータローに吊られちゃったのよ、なに聞いても面白い反応返ってくるし、ビックリする事知っちゃったし、あっもし気を悪くしてたらゴメンナサイ」

「いや…」

けれど今日もまた沢井の言葉は止まらなかった。まるで片時も止めたくないような、そんな必死さが伝わってきて赤羽はふと顔を上げる。少し天井を見つめているような、あの時と比べて時間も経過し大人の女性らしさが今の沢井には備わっていたけれど、その分どこか悲しげな表情で…
だからかその言葉を告げてみようと思ったのか…


「……好きだったんじゃないのか」


「…へっ!?なな何がっ!?」

「………」

「ちょっちょっとそれまさかあいつの事言ってるんじゃないわよね?まっまさかー、だってあんなバカで単純で身勝手で顔は悪くないけど大人になっても子供っぽくって不器用で、全然素直じゃなくて…意地ばっかり張っちゃって…」

「………」

「昔っからちっとも変わらないのよ〜、世話ばっかりかけさせて余計な事ばっかり口走って…でも何にでも一生懸命ですぐ周りが見えなくなるくらい熱くなっちゃって、本当目が離せないくらい冷や冷やさせてっ、のくせに勝手に答えとか自分で見つけてきちゃうのよ…っ、勢いだけで全部…っ、何でも…っ!」

言葉が進むにつれ気がつけば沢井の頬には一筋の涙が流れていた。すると徐々にその大きな瞳からポロポロと子供のように涙が溢れて、心に積もりに積もっていた長年の想いが涙となって零れていくようだった。本人は口では否定するけれど、その綺麗な涙が何よりの証拠だった。

「………」

「もっ、ちょっと何でそういうの見抜けるのよ、やっぱり赤羽のその瞳は反則っ!怖い怖いっっ!!」

意地になっていたのは自分の方かもしれない…前にここを訪れて事の真相を知った時、妙にムキになりながら二人の関係をハッキリさせようとしたり無理に問い詰めたり、またコータローのあやふやな態度が更に拍車をかけた。どうせならさっさと幸せになってくれればいいと、現状でも不自由なく日常を過ごしていた彼らを急かして、結果は上手くいったがもし関係が壊れていたらどんなに自分を責めただろう。大切なのはコータローだけではない、同時に赤羽も大切な友人の一人だ。
いつまでも二人はかけがえのない仲間なのだ。


「…いいわよあんなバカで自分勝手な奴、アンタにあげるわよ…っ」


半分笑うように叩いたそんな憎まれ口も二人を想ってこその言葉だった、元よりどうするつもりもない恋だった。皆大人になってその内消えていくのを待っていたものが、少しだけ早く決別できただけの事。それに何の辛さもないと沢井は胸を張って思える。

するとこのタイミングで突然玄関からドアが開く音が鳴った、「ただいま」と空気が重くなった部屋に垢抜けた明るい声が聞こえてくる。そしてコータローが靴を脱いで普通に顔を上げた時、沢井のその涙を目にして少し驚いた顔をした。

「来てたのかよ…、って!…何で泣いてんだよ…んんっ?さては赤羽っお前泣かしただろっ!女泣かすなんて最低だな!」

いつもの妙に威勢の良い声と態度でビシィと赤羽に対しクシの先を向けて、なんだか格好つけたような事を言っているが、その言葉を聞いた瞬間赤羽も沢井も…


「ああ、最低だな…」

「ほんと、最低ー…」


誰かさんを責めたつもりが何故か自分に返ってきてコータローは不思議そうな顔をした。

突然二人の視線を一斉に浴びて意味が分からないコータローは少し身じろぎながら、何だよ!!と大声でいつもの調子で叫んでいる。そんなうろたえる様子を見て赤羽はちょっと機嫌が良さそうにギターを奏で、沢井はようやく涙が止まり「クククッ」と口を押さえながら微笑んでコータローを見ている。相変わらずコータローだけが取り残された状態だが、帰ってきたばかりでギャーギャー騒ぎ立てるのも疲れるのか、すっきりしていない顔つきだが特に何もそれ以上突っ掛かってくる事はなかった。

三人は何も変わらない。
これはちょっと気持ちが交差しただけの事。




こうしてまた慌しい世界でそれぞれが生きていく為に日常へ帰る。

何物も置き去りにしていかないように。


END.



思ったより随分長くなってしまいましたが…どうでしたかね?
読み返してみると、なかなか説明不足な点が山ほどあるような気がします(笑)
うーむ…と思う部分もあったりするんですが、深くダラダラ書くより簡潔を目指しました。
また全部事細かく書くとなればどんどん長くなっちゃって(笑)SSで書くには辛いかな。
ちょっと成人した話なのに青春してる三人ですが(笑)コタが随分と罪な人になってます。
二人に想われて幸せだよね…、別に必ずこの未来を元にコタ赤妄想を日々してる訳では
ないんですけど、まあたくさんある未来の内の一つ…と割り切って頂ければ。
何だろう…それでもこの甘酸っぱさは何だろう…沢井さんの涙が…胸を突きます。
コータローを好いてしまったマネは大変なんじゃないかな…口には出せないだろうなあ。
切ない話になりました…でもコタと赤が平穏を取り戻せて本当にホッとしてるんです。
コタもマネもそれぞれ気持ちを口に出来ずに赤羽はさらりと伝えて更に見抜いて…
そういう意味で赤羽が一番大人で次にマネで最後にコータロー(笑)
けれど全てはコータロー次第という、実は一番重要な位置にいるコータロー。

しかしコタ赤が幸せになるのにもどれだけグダグダするつもりなんだコタ!!(笑)
でも簡単にいかないのが彼らだと思うので好きとただ伝えるだけでも時間がかかる…
内容について色々言いたい部分もあるんですが、いざ口で語るのは難しいと言いますか…
また改めて語るのも思い出すだけで大変!SS読んで何か感じ取ってくださればもうそれで!
文の書き込みは足りないと思いますが、それぞれの感情とか伝わっていたら嬉しいですv
ただ単純に話を読んで面白いと思っていただければ書いてる身として本当に幸せです。
色んな意味で、ちょっと反応が怖い(無いかもしれないけど・笑)一作でした!
★水瀬央★


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