*貧乏生活* ここ盤戸高校アメフト部には現在親元と離れて一人暮らし生活を余儀なくされている高2の生徒がいた。名を赤羽といい、その名の如く容姿は赤一色に染まっており、特に羽がついている訳ではないが(人間なので)見た目は華やかでスタイルも良く端正な顔立ちをしており、更にアメフト部ではエースでありスポーツ万能、趣味はギターで常に持ち歩いており不必要に上手い、そして知能指数も恐ろしいほど高く、こう非の打ち所のない人間とも言えよう。しかし性格はかなりの変わり者で悪い人物ではないが天然で摩訶不思議な言動で常に人を惑わせる色々紛らわしい人物なのだ。 どこから見ても育ちの良さを覗わせる彼であったが、実は貧乏生活を日々送っていた。 正しくは東京一人暮らしの資金を最小限に抑える為、親と過ごしていた時は立派な高級マンションに暮らしていたのだけど、今は裕福な生活から一転節約生活を強いられている。毎月仕送りもあるが、それだけではこの物価の高い東京でまともに暮らせやしないのだ。 そんなある日、ふと部室で交わされた会話で衝撃的事実が明かされてしまう。 「ねえ、今日部活終わったら皆でご飯でも食べに行こうかって話してるんだけどコータローも勿論来るわよね?」 「ん?おお、全然問題ないぜ。食えるだけ食ってやる!」 「ほどほどにしときなさいよ…、あー赤羽も来るわよね?家に帰ったって一人だもんねー」 ちょうど部室にはマネージャーの沢井とコータロー、そして赤羽の三人が存在した。普段仲の良いとは言えないコータローと赤羽が同じ空間にいることは珍しかったが、まあ通訳みたいな沢井もいたことからこんな日もたまにはあるらしい。 そして当たり前に赤羽にも声をかけて、きっと一人暮らしで毎日暇を持て余しているだろう事を悟り、来る事前程の話し方を沢井はする。大きな大会も全て終わった事から気兼ねなく誰もが参加できるだろうと。 しかし赤羽から返ってきた言葉は意外なものだった。 「悪いが今日は付き合えそうにもない…」 「えっ!?どうして?」 てっきり問題ないと安心しきっていた沢井だったのに、まさか赤羽から断りの返事を聞く事になるとは想像もしなかった。一応チームの中心人物の一人なのだから正直参加してもらわないと困るというか寂しいというか。でもコータローは行けないと返事をする赤羽に対し、用事あんなら無理に来させなくてもいいじゃねーかと都合良さそうに勝手に口走っている。 「ちょっと話がややこしくなるからコータローは黙ってて」 「何だとっっ!!」 「…で、何でダメなの?用事あるの?」 もうすっかりコータローを無視して話を進める気満々だ。 けれど又もや赤羽から返ってくる言葉は二人を戸惑わせる。 「……稼ぎ時なんだ」 『はあっっ!?』 一体何が稼ぎ時なのか…二人は目を丸くしながら赤羽をジッと見つめる。しかしギャーン!とギターを弾きながらこちらは常にマイペースだった。とりあえず説明を求めようと「何が?」とだけ聞いてみる。すると赤羽は包み隠さず事情を話してくれた。 「…夜間のバイトをしているんだ、部のあまり忙しくないこの時期が一番多く働ける…」 『バッバイト〜〜〜っっっ!?ああああの赤羽が!!!???』 全く想像のつかないものをさらりと伝えられて、沢井もコータローも驚愕する。この男に出来るバイトなんてあるのか…それも気になるところだが、それよりもバイトをして密かにお金を稼いでいた事実の方に驚きを隠せず、ちっとも生活上の苦労なんて無いに等しいと思われていた人物がひょんな事から貧乏生活を暴露した。 何となくこの事実は、赤羽に憧れている他部員には言ってはいけないような気もする。 「ちょっちょっと待て!バイトって…笑えもしねぇ奴がバイトなんか出来る訳ねーだろ!大体そんな暇あんのかよ!!」 「??…勿論部の練習に支障をきたさないよう調整はしている、生活費が思ったより多くかかってしまっているんだ、夜間でなら収入も多く得られる」 「せっ生活費を稼ぐ…?想像つかねー…、で今日もそのバイトがあんのかよ!っていうか何のバイトだあ?お前でも出来るその楽勝なバイトはよ!」 「あ、私もそれ気になる…何のバイト?」 ゴクリと開けてはいけない扉を開くような緊張感に見舞わる二人、次から次へと飛び出す赤羽のおかしな発言に何度も驚かせられているが、今度の今度こそが史上最強の返答であったと後に彼らはそう思うのだ。 「出張サービスだ」 ブハアァアァアッッッッッ!!!!! 聞いた瞬間思わず口から何かが勢いよく飛び出した。耳を疑うようなバイトの内容に、沢井もコータローもその場でガタガタ震え始める。 「ちょ…出張サービスって…コータロー…」 「いいっ…ああ有り得ねーだろ…、笑わずに出来る商売…夜間で高収入…ギャー!」 「まずいよこれ!変な道に走っちゃったんじゃないの?どうしたらいいの〜?」 「よし…俺がビシッと一言スマートに言ってやる!さすがに見逃せねー一言だぜ…」 ボソボソと赤羽に聞こえないよう小さい声でも激しいやり取りを交わす、そして意を決したコータローがくるりと威勢良く赤羽の方を向いて手持ちのクシをビシッ突きつけながら健全な教育的指導を訴える。 「お前まだ未成年だろうがっっっ!!!」 「そういう問題じゃない!!!」 的外れなコータローの言葉にすかさずツッコミを入れる沢井。もう全く役に立たない。 「ね、ねえ赤羽…もうちょっと職種変えた方がいいんじゃない?いくら稼ぎがいいからってそれはちょっと……」 「??…免許も既に取得してあるが?」 『めめめ免許!!!』 もうこれ以上話すのが嫌になってくる…余りにも懸け離れた舞台に降り立ってしまった赤羽に今ここから何を叫ぼうと届かない気がする。けれどそれって免許とか必要なのか?と新たな疑問も湧き起こる。 「…でも免許っているの?そういうのに…」 「さあ〜俺が知るかよ…利用した事なんざねーぞ!」 「当たり前でしょ!!でもひょっとして私達が何か勘違いしてるかも…ほら赤羽って口数少ないから誤解招く言い方するでしょ?」 「うーん…まあな、じゃあお前聞いてみろよ」 「……ねっねえ、そのお仕事ってさ…具体的にどういうの?お客さんはどういう人が多いの?」 誤解で…誤解であってほしいの一心で。 「…主な客層は…そうだな、家庭の持たない一人暮らしの中年サラリーマンの人が最近多いな、毎晩冷えるからな…」 「もうイヤ〜〜〜〜!!!!!何も聞きたくない〜〜〜〜!!!イヤーーー!!!」 そしてますます悪化していく事態に沢井は激しく取り乱しながら、もう何も聞きたくないと有無を言わさずコータローにバトンタッチをする。だが主な客が中年サラリーマンをいうやたらリアルな返答に、赤羽の言う出張サービスというバイトが如何わしいものとしかそろそろ考えられなくなってきた。確かに家庭の持たない分金は余っている連中だ…、しかも冷えるから呼ぶなんて人肌を求めているから?と無駄に想像力も高まる。 「おおおお前どんな顔してそれを平然とっっ!!そんなに金に困ってんのかよ!プライドはねーのか!そんなオッサンとか相手にしててよ!!」 「今までトラブルを起こした事は一度も無いが…みんな満足してくれている。生活費は必ず要るものだ、プライドの問題じゃないな」 「このヤローーーー!!!!見損なったぜ!!!そんなほいほい○×△〜とかやれちまうなんてよ!」 「フー、どうやら話は平行線のようだな、そんなに気に入らないのなら一度夜暇な時にでも利用してみればいい、名刺を渡そう」 『利用っっっ!!!名刺っっっ!!!』 そして懐から一枚の名刺を取り出した赤羽は何も言わずスッとコータローの前にそれを差し出す。思わず硬直してしまったコータローだが何故か突っ返せず不本意ながらその名刺を受け取ってしまった。その名刺には赤羽の名前と携帯の電話番号が…何だかシンプルすぎて気持ちが悪かった。更に沢井に渡さなかった事から男相手の商売だとほぼ確定したようなもので、健全な高校生らしくない赤羽の生活費の稼ぎ方は二人に多大なショックを与える。 「これ…関西にいるお父さん知ったら泣くんじゃない…」 「つーかこんなのいい訳ねーだろ!見つかったらシャレにもなんねーぞ…」 「でもそんなにお金に困ってたんだ…相談してくれたら部の皆で何とかカンパとか対策練れたかもしれないのに…」 「金持ってねー顔してやがらねぇからな…金に困ってること自体にまずビビったぜ…」 けれどこれ以上何を話しても無駄だと察知した沢井とコータローは、結局その話題を続ける事はなかった。そして本日の会に不参加した赤羽…他の部員の皆に適当に説明するのだけでも大変だった。だが事件はこれだけでは終わらない、この後も何度か練習後の部員の集いに赤羽を懲りずに誘ってみるけれど「バイトがある」の一点張りだった。もう沢井は笑顔が曇りがちになり、コータローは怒りが募る一方だった。 家に帰り、自分の部屋の机の上に置かれている一枚の名刺を見る度に居た堪れない気持ちにさせられる。いつまでこんな不健全なバイトを続けるつもりなのか、ひょっとしたら今日も今頃どこかの誰かに呼び出されて奴の言う「バイト」とやらに励んでいるのかもしれない。 今日は部が終わって真っ直ぐ帰ってきたコータローだが自分以外の家族は今丁度旅行で皆出払っていた。当然一人で留守番な訳だが大層暇を持て余していた。適当にパンでも齧りながら雑誌を捲ろうとするけれど、やっぱり例の名刺が気になってコータローは妙に落ち着けなかった。 「……マジでオッサン相手にやってんのかよ…」 幾ら金がないとは言え、そんな自分の身体を商売道具に使うような見境がない奴だとは思わなかった。一人でいると余計な事まで悶々と想像を膨らませてしまい、ついつい赤羽がオッサン相手に組み敷かれている図をふと脳裏に浮かばせてしまった。そしてその後究極に落ち込む。 「おえー、気持ち悪いもん想像しちまったぜ…本気でなに考えてんだ、あいつはよ」 しかもバイトと割り切ってしまえるなんてコータローにはまるで理解が出来なかった。家庭を持たない一人暮らしの寂しがりやな中年相手に触られて平然としてるのかと思うと吐き気もしてくる。確かに赤羽の容姿は人と違う特殊な面も併せ持ち顔も悪くないし身体も充分アメフトで鍛えている。きっとしなやかな肉体でもお持ちなのだろう、今は貧乏生活でも育ちは決して悪くないのだ。 「さっきから汚ねぇオッサンばっか想像しちまう!あいつがあんな名刺渡してくるからだ!何が暇な時利用しろだ!出来る訳ねーだろ!!」 けれど若さゆえの過ちか…一度脳裏に浮かんだものは簡単には消えなくて、どんどん想像上の赤羽がエスカレートし息を乱して喘いでいるような生々しい映像が広がる。あの赤い髪を揺らしてオッサンのいいように扱われている…妄想の域を出ないかもしれないけれど多分現実に行われているもの。さぞ楽しまれているような、何だか腹立たしい映像も浮かんでコータローは自分の想像なのに収拾がつかなくなっていった。 「クソッ!!勘弁しろよな!何でンなもん想像しねーといけねぇんだよっ、何かどんどん腹立ってきたしよ!!…って俺まさか……」 調子に乗って想像を膨らませすぎた結果、ふと自分の身体の変化に気付き、恐る恐るコータローは自分の下半身に手を伸ばす。すると不覚にも誰かさんで反応を示してしまい、もう怒りはピークに達した。思わず勢いで携帯と名刺を手に持ち、高速で赤羽宛の番号を自分の携帯に打ち込む。 「もう直接文句言ってやらねぇと気が済まねぇ!!大体犯罪なんだよお前がやってる事はっ、俺がガツンと言って分からせてやる!!」 トゥルルルル… ちょっと緊張しながらも無事に携帯が繋がったのは喜ばしい事だった、最中なら出れる訳もないので。とりあえずここに呼び出して思う存分味わう…じゃなくてガツンと一言言ってやる。 《はい》 「あー俺だ俺!!」 《…俺様ですか》 「俺だって言ってんだろ!!」 《……(俺俺詐欺)、名前を言え名前を》 「その言い方するって事は誰だか分かってんだろうが!あー今すぐ家に来い!!今すぐだ!!」 《そんなすぐには向かえない、こちらも準備が必要だ…》 「準備なんかしなくていい〜〜!!ツベコベ言わずに来やがれ!!」 《……分かった、ノーマルかハイかスペシャルの中から選べ》 「はあっっ!?だからそんなのはいいってっっ…」 《早く選んでくれ》 「えっ………………、スペシャル」 《分かった、少し時間をくれ、準備が整い次第すぐに向かう》 プッ、ツーツー。 そして電話は切れた。 「……おっ思わずスペシャルを頼んじまったじゃねぇかっっ!!あ〜〜もうっっ!!」 しかしノーマルにハイって…一体何をしてくれるのか微妙に気になったコータローだった。だがそんな如何わしいバイトは今日で終わりだ!と意気込む、どんなつもりで奴が家に来るかは分からないがこっちは端からそんなつもりなどこれっぽっちもない(はず)のだから。 「だから……いい加減に収まれ!!決してそんな理由で呼んだ訳じゃねぇ〜〜!!」 自分の股間に罵声を浴びせながら、うっかりスペシャルだが、その気はないと言い聞かす。とりあえず奴が来るまでに何とかせねば。しばらくコータローは自分自身と精神的な格闘を繰り返す。 そしてかなりの時間が経過した時、ようやく家であるマンションのインターホンが鳴らされる。 ピンポーン… 「っ!やっときやがったな、すぐ来いって言ったのによ!客を待たせんなって客じゃねぇー!!」 一人で漫才しながらコータローは猛スピードで玄関に向かい、まさに飛び掛らん勢いで扉を開ける。もう今か今かと待ち侘びたこの瞬間にどう制裁を加えるかは何も考えてはいなかったが、一先ず怒鳴りつけてやろうと目をギラつかせる。 ガチャッ。 「このアバズレ野郎がああああ〜〜〜〜!!!!」 そして目の前の、ようやく到着した赤羽に対しコータローは早速予定通り怒鳴りつける。もう完全に頭に血が昇っており話し合う余地すら与えない。けれど赤羽はポカン…と不思議そうな顔で全く痛手など負っている様子ではなかった。 「なんだそのキョトンとした顔はよっっ、そんなんで騙されるか!!…って、ん?」 だがふと冷静になって目の前に立つ赤羽の姿を見てみるとガッチリ寒さ対策の為か全身着込んでいて、そして手には何やら平たい大きな物体を乗せている。更にそれから強烈に食欲を誘う匂いが… 「ん…なんか美味そうな匂いがすんぞ?……この匂いは…くんくん」 掌に乗せられている派手なプリントが施された箱、その箱に書かれていた文字を見た時、再びコータローは外にも関わらず大声で叫ぶ。 「何ィィィィっっっ!!!これってこれってまさか…出張サービスって!!!」 「……ピザの配達をしていたらアバズレか?」 そう、箱には何と『PIZZA』の文字がプリントされていたのだ!!! 「ピッピザの配達かよ〜〜〜!!!出張サービスって!!だったら最初からそう言え!!名刺にも書いておけ〜〜!!」 「何かと勘違いしていたのか?フー、とにかく温かいうちに食べてくれ…」 だがコータローはプルプル震えながら、なーんだピザの配達か、それは良かった、とはさすがに割り切れていなかった。散々人を困らせておいて誤解させておいて、このオチは何だと結局収まらない怒りが沸々と湧き起こる。しかも今日自分はうっかり想像を膨らませてしまい、同時に股間も膨らませてしまったのだ… 勝手に勘違いをしたのはこちら側だが、最初から赤羽が普通にピザの配達と言っていればこんな忌々しき事態にはならなかったはずだ。赤羽が変な言い方をしたせいで要らぬ気まで使ってしまい…コータローは自分自身にも腹を立てている。迂闊にも程があった。 「い…いい加減にしろ〜〜〜!!!紛らわしい言い方しやがって!どれだけ俺や沢井が心配したかっっ」 「…心配?確かに夜間の配達は危険を伴うが気をつけてバイクには乗っている…心配をかけていたのか、それはすまなかったな」 「すまなかったじゃねぇ〜〜〜〜!!!!お前に俺らの気持ちが分かるかっっ!!」 ガルルッと明らかな不快感を示しているコータローに赤羽は全く意味が分かっておらず自分の招いた事態の大きさに気付いてもいない。そんな天然さが余計に腹立たしかった。 「??……ピザは好きじゃないのか…」 「んな事一言も言ってねぇ!!!今回ばかりは許さねぇぞ!!ふざけんなっっ」 こんなアホらしい事があってたまるか!と玄関先で追い返さんばかりの勢いで叫ぶ。もう夜も遅いのだから近状迷惑になってしまいそうだが…そんな形振り構っていられる状態でもなかった。けれど赤羽も一応必死なコータローの姿を見て、意味は分からないものの、ちょっと申し訳なさそうな顔をしている。 「………知らない間に迷惑をかけてしまったようだな…お詫びに今日のピザ代は無しにしよう」 「しかも金取る気だったのかっっっ!!!」 ヒデーーーッッッと心の中で叫ぶコータロー。まあお金がなくてバイトをしているのだからそこはなるべく協力してあげよう。だがうっかりスペシャルを頼んでしまったので(またその勘違いした理由が我ながら痛すぎるのだが)特大のピザがきてしまった。これにはさすがに時間も掛かったであろう。赤羽の天然ぶりにはムカつくが、そのピザには罪はない。また反省している様子も窺えるので、もう怒鳴りつけるのは無しにしようとコータローは一つ山場を乗り越えた。 「……まあ、もうしゃーねーからそのピザでも一緒に食おうぜ、どう考えても一人じゃ食い切れねぇ」 「………分かった、今日の仕事は終わりにしよう」 そう赤羽が言った時、運悪くピリリと営業用の携帯が鳴る。だがそれに出た瞬間きっぱりと今日の業務は終了したと赤羽がはっきり答えていた。そして留守番モードに切り替える。その潔さは印象が非常に良かった。 そしてコータロー以外誰もいない部屋に上がって重装備を解く赤羽。てっきりスペシャルを頼むくらいだから何かの集まりでも開いているのかと思っていたらしい。しかし実際はコータローたった一人だった。 いつもはこのバイトで赤羽は、家庭の持たない正しく寂しがり屋の中年サラリーマンの性欲でなく食欲を満たす為に夜間遅く寒い中温かいピザを作って配達までしているのだ。そのピザの味も良く、配達人の愛想はよくないもののサービスは悪くないのでお客さんは皆満足しているらしい。決してコータロー達が想像していたような如何わしいサービス提供ではないのだ。 まあ机の上に特大ピザを広げてしまえば、もうコータローの怒りは収まりガツガツと美味しい赤羽のお手製ピザを頂く。しかしこんな特技まであるのかと感心してしまうほどだ。ふざけた一連の騒動だったが、本気でこんなつまらないオチで良かったとコータローは心の底から安堵した。 そして次の日に沢井にも事の真相を話してやり、当然赤羽が沢井の怒りを買ったのは言うまでもない。だがやっぱり本人はよく意味を理解していない様子だった…。ある意味一番危なっかしそうで実は一番平和な人なのである。でも多少の反省?はしているのか、仕送りの金額は無理言って上げてもらったそうな… END. |